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心の病と栄養状態   その2

心の病と栄養状態   その2

③、引きこもりと家庭内暴力の若い男性・・・栄養補給で改善

もともとは、成績優秀な子であった。
小学校の高学年くらいから、学校になかなか行かなくて、部屋が散らかりがちになり、反抗的に成った。
中学2年生くらいから、夜遅くなるまで勉強するようになったが、夜食にカップラーメンやスナック菓子、炭酸飲料などを大量に摂るようになった。
(このような食生活をしている子供は、最近は多い。当然のことながら、ミネラル、ビタミン、食物繊維、アミノ酸などの不足を引き起こします。こういうことが、今、子供たちに起こっているさまざまな問題の原因の一つではないかと思われます。)
そして、反抗的な態度がまた出てきた。
3年生くらいになるとよくキレルようになった。朝起きられなくなる、友人ともトラブルを繰り返すようになる。

それでも、成績が良かったので、地元では名門の公立高校に入った。
初めのうちは、トップの成績だったが、遅刻が多くなり、クラブや塾などでもトラブルを起こし続けた。教室でも突然騒ぐようになったりした。
スクールカウンセラーからは、お父さんが単身赴任で不在がちなのが原因と指摘された。
それで、お父さんは、無理をして家に頻繁に帰るようにしたが、一向に改善しなかった。
(こういう指導は、しばしばなされるが、効果はあがっているのでしょうか?多分、ダメでしょう。もっと別な理由でしょう。)

そのうちに、精神科を受診した。さまざまな薬が試されたが、一向に改善しなかった。
体がだるくなり、朝起きられない状況が更にひどくなった。
(これは、向精神薬の特長。向精神薬の多くは、眠気、ダルさを引き起こします。)

高校3年生になったが、学校へは行けず、ほとんど家に引きこもり、試験だけは保健室で受けさせてもらい、どうにか卒業だけはさせてもらった。

著者の先生を受診するときには、7種類の向精神薬が投与されていた。
(心療内科より投与される患者さんの薬は、初めは1,2種類ですが、だんだん増えてきます。それで、効いていればよいのですが、そのうち効かなくなったり、何か別の症状が出てきます。患者さんがそのことを先生に訴えると、それに対応した薬が追加されます。或いは、別の薬に変更されます。また、こういう患者さんは、寝つきが悪かったり、途中覚醒したりしますので、睡眠薬などが投与されます。睡眠薬は、すぐに効かなくなるので、患者さんは追加を要求します。こうしたことが繰り返されて、薬がどんどん増えてきます。)

検査をしたところ、肝数値が少し悪く、コレステロール値が低めでした。また、糖尿病ではないが、血糖値のコントロールがうまくいっていなかった。

治療としては、食事指導と、運動指導。アミノ酸、カルシウム剤などの投与。
1年7ヶ月後には検査数値は正常になった。
疲労感が少なくなり、友人とも旅行に行けるようになった。
また、大学に入学したいとの希望を持つようになり、予備校に通い始めた。

④、うつ病の男性・・・亜鉛不足
経過:サラリーマンで、休日出勤するくらい元気で、有能だった。しかし、少し前から、成績が落ち、元気も無くなって、仕事をやめてしまった。
朝起きられない。やる気が起こらない。外出しない。そのうち、引きこもり状態になった。

著者の先生の病院に来たときは、精神科よりうつ病と診断されていて、5種類の向精神薬を出されていた。

(朝起きられない、やる気が起こらないのは、うつ病のためだけではないと思われます。向精神薬を多く服用すると、こういう症状がしばしば起こります。特に、睡眠薬が大量だと、朝起きるのがつらくなるのが普通です。最近は、インターネットで向精神薬の副作用を、誰でも簡単に調べられるようになりました。今投与されている、薬についても、調べるとよいでしょう。)

検査をすると、肝機能低下と亜鉛の欠乏が見つかりました。
亜鉛やカルシウム、ビタミンなどを投与し始め、数ヵ月後から就職しようという意欲が出てきたとのことでした。

(亜鉛は、さまざまな生理機能をもつミネラルです。亜鉛が不足すると、味覚障害を起こすことは、広く知られていますが、不足すると精神にも影響します。また、検査では、亜鉛が不足とのことですが、亜鉛だけ不足しているのではなく、其の他の微量元素、ミネラルも不足していると考えるのが妥当でしょう。
ミネラル不足は、多くの病気を引き起こしますが、そのことは、意外と知られていません。これは、おそらく、ミネラルを補給するもので、医療保険のきく薬が、今のところないことにも由来するのでしょう。
また、うつ病の人は、やはり冷え症がほとんどです。)

⑤、統合失調症(と診断されていた)女性・・・栄養不足と血糖調節障害
経緯:中学時代にいじめにあう。
16歳ころから落ち着きがなくなる。18歳位から、幻聴などが起こる。
19歳で、精神科を受診し、統合失調症と診断される。
薬がどんどん増えて、向精神薬が6種類投与されるようになる。
著者の先生の医院に来たときには、向精神薬が、6種類投与されていた。
食事を聞くと、ほとんど肉を食べていない。ペットボトルの清涼飲料水を良く飲む。スナック菓子をよく食べる。
(これを、見たら、もう対策は想像がつくでしょう。肉類が少ないと、タンパク質、アミノ酸不足になります。セロトニンが不足すると、精神のバランスが崩れ、うつ病になったりするとされています。セロトニンはアミノ酸の一種であるトリプトファンが不足すると作れません。その他の多くの生理活性物質もアミノ酸が必要です。)
検査すると、普通の検査では出ない「血糖調整異常」であったそうです。
食事指導と、ビタミン、アミノ酸などの投与で向精神薬から離脱できたとのことです。
また、意欲も出てきたそうです。
(おそらく、このほかに何かの薬を投与したのでしょうが、本には記載されていません。)

著者のコメントには、統合失調症と診断された人の多くに、血糖調整異常が見られるとのことです。
(もし、ご自分、又は周囲の方で、統合失調症、其の他の精神病と診断されている場合、食事の内容=栄養状態が良くなさそうだったら、とりあえず食事の内容を変えてみるといいでしょう。
どうするかというと、何も特別なことをする必要はありません。少し前の日本的な食事に近づければよいのです。
何かの症状で、漢方薬を服用していると、平行して精神的な状態が改善することは、多々あります。それは、漢方薬の中には、薬としての成分のほかに、栄養分になるものが含まれていたりするからです。そういうことを頭に入れて、選薬すると、効果的な場合が多いようです。
また、漢方薬を選薬する際に、食事について聞かれることがあると思いますが、それも大事な情報です。
また、精神的な病のある人は、漢方的にはほとんど冷え症です。)

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