人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ジークフリートは、魚鱗癬だった

ジークフリートは、魚鱗癬だった

ヨーロッパの魚鱗癬患者の会のホームページには、有名な、中世ゲルマン民族の叙事詩である「ニーベルンゲンの歌」の主人公であるジークフリート(Siegfried)が魚鱗癬であった、と述べられています。

そこで、「ニーベルンゲンの歌」を調べてみたところ、確かに、ジークフリートが魚鱗癬であったような、記述がありました。
ジークフリートは、竜を退治した時に、竜の血を浴びました。
そして、皮膚が尖って、竜の鱗のようになり、いかなる武器でも切られないようになりました。
(ジークフリートは、竜殺しであり、英語風にいえば、dragon-slayerドラゴンスレイヤーです。)
これは、魚鱗癬の状態を指しています。
しかも、大変まれなヤマアラシ状魚鱗癬(Ichthyosis hystrix)です。

「ニーベルンゲンの歌」そのものは、英雄伝的な叙事詩ですが、史実ではありません。
ジークフリート(Siegfried)のモデルは、フランク族のメロヴィング王朝(フランス)のクローヴィス王の孫のジークベルト(Siegbert)です。
メロヴィング朝のある年代記には、クロヴィスの母が、 キノタウル( Quinotaur)という海の竜と交わって、クロービスが生まれた、とあるそうです。
これは、クローヴィス王が魚鱗癬であることの、理由付けをしています。
更に、王に鱗があるのは、竜の子孫である証拠であり、王として支配することが、正当である、との理由づけにしています。王朝の権威付けに利用しています。
当時は、魚鱗癬の病気については、理解されてはいませんから、どう解釈しても良いわけです。
クローヴィス王の孫のジークベルト(Siegbert)も魚鱗癬だったのでしょう。
ジークベルト(Siegbert)がジークフリート(Siegfried)に転訛して、魚鱗癬が、竜の鱗と解釈されたのでしょう。
歴史の解釈として、大変興味深いことです。

朝霞の漢方  昭和薬局   薬剤師 鈴木 覚
埼玉県朝霞市朝志ヶ丘1-2-6-106
TEL 048-473-7830  FAX 048-473-7332

<< 今年は花粉症が出なかった , 微量の向精神薬でも、大きな影響... >>