耳鳴を鎮める生薬「磁石」

耳鳴を鎮める生薬「磁石」
                            2018.2
「磁石」は、通常「じしゃく」と読みますが、
この「磁石」の生薬での読み方は、「ジセキ」です。
当店、昭和薬局では、磁石を含む「耳鳴丸 ジメイガン」を扱っています。

磁石が薬になるのか?という疑問は当然起こって来ましょう。
磁石(じせき)は、薬になります。しかも、相当昔から、利用されてきました。
(ただし、過量は、良くはありません。)

生薬の事を記載した、古い本草書を見ますと、生薬は、いくつかに分類されています。
草部、木部、獣部、禽部、虫部などがありますが、大抵は、石部が、最初に記載されています。中国では、古くから石(金属を含む)が、生薬として利用されてきました。磁石は、今でも用いられている数少ない金属系生薬です。

さて、「聡明」という言葉は、一般に“道理に明るく賢い”という意味で使われますが、
これは本来“耳がよく聞こえ目がよく見える”という意味の「聡耳明目」が転じたものです。
確かに、物事を耳で良く聞き、目で良く見なければ、賢くはなりません。
人の話には、耳を傾けず、一方的に、自分の意見だけをまくし立てる人は、あまり賢いとは言えないでしょう。

中医学において、耳鳴や難聴(耳聾)を改善する効能を「聡耳」、目のかすみを改善したり、物の見えを良くする効能を「明目」と表現します。
特に、六味地黄丸など補腎薬を用いるような病態(肝腎陰虚など)では、耳鳴と目のかすみの両症状を呈することが多いため、これらを改善する「聡耳・明目」生薬が配合されます。

その代表的な生薬が「磁石:ジセキ」で、耳鳴(ジメイ)丸に配合されています。
耳鳴丸は、六味丸(地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)に柴胡、磁石の二剤を加えた物です。

【磁石】〔由来〕天然磁鉄鉱(Magnetite)〔成分〕四酸化三鉄(Fe3O4)
酸化第一鉄(FeO)と酸化第二鉄(Fe2O3)の混合物で黒色光沢ある結晶または粉末。天然には磁鉄鉱としてまたは砂鉄として産し磁性を示す。
水に溶けないが、塩酸に溶ける(胃の塩酸酸性下では溶解します。胃の機能が低下すると、鉄を吸収できずに貧血になります。)。
天然の磁鉄鉱は、マグネシウムなどの他の金属を含んでおり、それも、効能の一部を担っているのかも知れないと言う。

〔薬能〕精神神経の過剰興奮や不安定を鎮め、耳鳴りや目のかすみ、めまいなどを改善する。
①潜陽安神・定驚:腎虚肝旺・心神不安などによる不眠・驚きやすい・不安感などに用い、精神を鎮める。
②聡耳明目:陰虚陽充による耳鳴・難聴・頭痛・眩量・視力低下などを鎮める(養肝益腎のはたらきも兼ねる)。
③納気平喘:腎不納気による喘息、息切れを鎮める。
〔薬理作用〕補血作用(鉄分の供給)や鎮静効果が認められている。(耳鳴りや難聴など聴覚障害には、鉄欠乏や貧血などが関係するものがある)

漢方の古典に見られる磁石の記述
漢方の最も古い古典である、「神農本草経」にも記述もあります。
「神農本草経」には、慈石とあります。一名玄石。味辛寒。生川谷。治周痺風濕。肢節中痛不可持物。洗洗酸痛。除大熱。煩滿及耳聾。
「本草衍義」:腎虛耳聾目昏者皆用之。
「本草綱目」:明目聰耳,止金瘡血。慈石(磁石)治腎家諸病,而通耳明目。
        「名磁朱丸」治久患耳聾。

朝霞市、志木市、新座市、和光市で43年
朝霞の漢方  昭和薬局
薬剤師 鈴木 覚
朝霞市朝志ヶ丘1-2-6-106
TEL 048-473-7830  FAX 048-473-7332

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