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華岡青洲の書物に見る紫根  紫雲膏の原典 

華岡青洲の書物に見る紫根  紫雲膏の原典        2013.5
紫根(シコン:ムラサキ草の根)の効能効果・薬効  その7

紫根を含む漢方薬としては、紫雲膏が最も、有名です。
広くは使われていませんが、副作用が無くて、大変有用な漢方の軟膏です。
紫雲膏は、青洲先生が、潤肌膏(じゅんきこう)をもとに、改良したものです。
昭和薬局では、「紫雲膏」およびそれを改良した「赤色ワグラス軟膏」を、多くの皮膚病に、単独または他と組み合わせて使っています。アトピー性皮膚炎、口内炎、そのた難しい皮膚炎にも応用しています。また、ステロイド軟膏の使用を減らしたい場合にも応用しています。


華岡青洲先生(1760~1835年)は、世界で初めて、麻酔による乳癌の手術をした医学者として知られています。
有吉佐和子先生の小説「華岡青洲の妻」およびそれを映画化したものでも知られています。

紫雲膏は、華岡青洲先生の「春林軒法方録」には、潤肌膏(じゅんきこう)という名称で、処方と製法が記載されています。
春林軒とは、華岡青洲先生の病院兼医学校のことです。

“潤肌膏(じゅんきこう)
これを、春林軒(シュンリンケン)では、紫雲膏(シウンコウ)と称している。
処方:胡麻油(ごまあぶら) 40銭、
    当帰(とうき) 5銭、
    紫根(しこん)  4銭(もとは3銭、今は4銭とする)、
    蜜蝋(みつろう) 15銭(20銭、あるいは10銭、あるいは15銭。今は15銭とする。)、
    豚脂(とんし:ラード)1銭
   (銭は、重さの単位。現在の1銭は3.75g。5円玉の重さが1銭。)
製法:以上の5種類を、通常の軟膏の製法で行う。
    最初に胡麻油を煮て、沸騰するのを待ち、当帰と 豚脂を次に加える。
    蜜蝋を入れ、紫根を入れ、泡がないのを確認して、火を消す。
    紫根に、水をふきぬらしておけば、色が良く出る。”


紫雲膏を、実習会で作ったことはありますが、なかなかうまく出来ないものです。
また、この製法には書かれていない、コツがあります。

娘は、大学のクラブで文化祭のときに作ったようですが、色がうまく出ていませんでした。


朝霞市、志木市、新座市、和光市で38年  漢方相談薬局
昭和薬局  薬剤師 鈴木 覚
埼玉県朝霞市朝志ヶ丘1-2-6-106
TEL 048-473-7830  FAX 048-473-7332



「麻沸湯(まふつとう)」の処方

ついでですが、その麻酔に使われた「麻沸湯(まふつとう)」の処方も、記しておきます。
これは、青洲先生の「青嚢秘録(せいのうひろく)」に、収載されています。
この処方を、見た印象は、恐ろしいの一語に尽きます。
ただの、毒薬にしか見えません。
この様なものが、麻酔として使われた、あるいは使わざるを得なかったのか、との感があります。
とはいえ、世界初の記念的なものですから、処方を記しておきます。

麻沸湯(まふつとう)
処方:曼荼羅実(マンダラジツ) 6銭、百芷(ビャクシ) 1銭、南星(ナンショウ) 1銭、当帰(トウキ) 3銭、川芎(センキュウ) 6銭、烏頭(ウズ) 1銭、
製法:以上の6種を粉にして、煎じて服用する。


華岡麻沸湯(まふつとう)  今はこれを用いる。
処方:曼荼羅実 6銭、川芎 3銭、百芷 1銭、当帰(焙ったもの) 3銭、烏頭 3銭、南星(焙ったもの) 1銭
製法用法:以上の6種を粉末にし、小児には1銭5分、大人には2銭。それを1合4,5勺の水で、その80%くらいになるまで煎じる。
または、散剤(この場合は、麻沸散マフツサンになる)にして服用させても良い。

曼荼羅実(マンダラジツ)は、マンダラゲの実。マンダラゲの別名は、チョウセンアサガオ、キチガイナスビ゙など。鎮痙作用もあるが、毒性が強い。  
烏頭(ウズ)は、附子、トリカブトのこと。これまた、毒性が強い。
附子は、現在でも広く使われているが、低毒下したものを使用している。
南星は天南星(テンナンショウ)のこと。毒性があるが、それほど強くはない。 
百芷(ビャクシ)は、ヨロイグサのこと。
川芎(センキュウ)、当帰(トウキ)は、いわば普通の生薬です。

中央区月島を散歩する亀

中央区月島を散歩する亀
                           2013.5
先日、用事があり、中央区月島に行きました。
私の高校は、晴海にあり、月島と隣接していたので、月島は懐かしい場所です。
月島の商店街は、昔は下町風でしたが、今はもんじゃ屋さんばかりが並んでいます。
しかし、脇道には、昔風の町並みが残っています。
ああ、懐かしいなと、見ていたら、人だかりがありました。よく見ると、大きな亀が歩いています。
亀を散歩させていたのです。それを、観光客、特に子供たちが見て触っていました。
そういえば、何かテレビで見たような気がします。
写真を見れば、大きさがわかるでしょう。
珍しいので、写真にとりました。


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甲羅や体も、キレイで、飼い主がよく可愛がっているのでしょう。
亀は、歩きの遅い動物とされていますが、この亀は、意外に早く、子供たちが、~~より早いと、喜んでいました。
飼い主に、咬んだりしませんか?と聞いたところ、
自分から咬むことはないよ、との答えでした。
月島は、銀座とは徒歩圏です。
こんなに銀座に近い場所で、亀の散歩に出会うとは、面白いことです。

朝霞市朝志ヶ丘1-2-6-106  昭和薬局  薬剤師  鈴木 覚
TEL 048-473-7830  FAX 048-473-7332

華岡青洲も使っていた田七人参

華岡青洲も使っていた田七人参


華岡青洲先生は、世界最初の、麻酔による乳癌の手術をした医学者として知られています。
有吉佐和子先生の小説「華岡青洲の妻」およびそれを映画化したものでも知られています。

華岡青洲先生は、外科が専門で、先生の口述したものが、多く残っています。
多くは、秘伝書としての筆記本です。

「金創神書(きんそうしんしょ)」には、田七(三七)人参を含む処方が、二つ記載されています。

最初に、医師としての心得、治療の備えについて、述べています。
その末尾に、「先ず患者を部屋にいれ、良く気を鎮め、人参調栄湯を煎じて、併せて回生散などを備えておくべきである。」と延べています。
この「回生散」に、「広参(こうじん・こうしん)」という名称で、田七(三七)人参が配合されています。
金創(きんそう)とは、金属による傷のことです。刀創、包丁等による傷のことです。
田七は、傷の要薬とされています。
傷の特効薬とされている、雲南白薬の主成分は、田七人参です
もう一つは、「縛血散(はくけつさん)」という処方です。
処方中の「銭(せん)」は、重さの単位です。時代、場所によって変わりますが、現在では1銭が3.75gとなっています。五円玉が、3.75gです。

“回生散  
     一切の暈倒(うんどう)、 及び産前産後、金創の出血、血暈(けつうん)を治す。
処方;香附子、紫檀、広参 各20銭、鬱金、甘草 各6銭、胡椒 8銭、白檀 12銭、丁香 5銭
製法:以上を細かい粉にして、白湯あるいは冷水で服用する。あるいは、蜜で練って固めて服用する。

縛血散(はくけつさん)  花岡(華岡に通じる)先生の秘法である。
      金創で出血して死にそうな患者、または衄血(じくけつ:鼻血のこと)、吐血にもよい。
処方:反鼻(はんぴ:乾燥させたマムシ)の黒焼き、 広参(こうじん・こうしん)(無ければ牛皮消でも可) 各2銭、紫檀、血竭(けっけつ) 各1銭、モグラの黒焼き3銭
製法:以上を粉として、患部に貼る。または、独参湯(どくじんとう)を5分または1銭服用させる。”

回生散とは、名前の通り、命を呼び戻すという意味です。
縛血散(はくけつさん) は、血を止める散剤(粉薬)という意味です。
牛皮消は、イケマというガガイモ科の多年草です。
黒焼きは、生薬を炭化させたものですが、炭には止血作用があります。

広参(こうじん・こうしん)とは、広州または広東の人参という意味です。
広東が、出荷港であったことから、広東人参としたのでしょう。
広西省に広の字がありますが、広西の広ではないでしょう。
広西は、有名な地名ではありませんから。
田七人参は、今でこそ雲南が産地とされていますが、昔は、広西省の方が多く産したと推定します。
というのは、田七の田は、広西省の田州府が、三七人参の集散地であったことから、田七の名前が付きました。

西洋人参のことを広東人参と称する事もありますが、この場合、薬効からみて、西洋人参では有り得ません。
西洋人参は、補剤的なものです。止血作用や傷を治す作用はありません。
また、江戸時代には、日本では、三七人参(田七人参)のことを、広東人参と称していたことが、多くの医学書に散見されます。
田七の効能には、必ず 止血作用や、衄血(じくけつ:鼻血のこと)、吐血を治す、という言葉が出てきます。
従って、青洲先生のいう広参(こうじん)=広東人参(かんとんにんじん)は、三七人参のことです。


縛血散(はくけつさん)の広参(こうじん・こうしん)が無いときは、牛皮消(イケマ)でもよい、とあります。これは、田七人参が手に入りにくい、高価であるという理由でしょう。

回生散の広参(こうじん・こうしん)=田七人参を他のに変えて良いとしていないのは、効き目からして変えがたいということでしょう。

以上のことから、青洲先生が田七(三七)人参を使ったことは、明らかです。

当店、昭和薬局でも、三七人参、田七人参をあつかっていますが、江戸時代の、しかも華岡青洲先生が使っていたのを発見できたのは、大いな喜び、かつ驚きでした。
 
朝霞市、志木市、新座市、和光市で38年
   昭和薬局   薬剤師 鈴木 覚
埼玉県朝霞市朝志ヶ丘1-2-6-106
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犬の伊勢参り

犬の伊勢参り
                                                       2013.5
今年の初めに、伊勢神宮に行ってきました。
その時、面白いと、後々まで、印象に残ったものがあります。
それは、犬の伊勢参りです。

先日、  新聞に犬の金毘羅参りという記事が掲載されていたので、思い出しました。

門前町に、昔の町を再現した 「おかげ横丁」という一角がありますが、そこに昔の芝居小屋を模した、「おかげ座」というのがありました。

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伊勢参りについてのことを紹介する展示館でした。
そこに、人に伴われた犬の像がありました。
犬の伊勢参りだそうです。
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ガイドの話では、こうでした。
江戸時代、伊勢参りが大変流行しました。
伊勢参りはしたいが、病気であるとか、時間的に難しい場合には、飼い犬に、代わりにお参りをさせたとのことです。

伊勢におまいりに行く人に、犬を預けて、お参りをさせ、神宮のお札をもらってこさせる、というのです。
犬の首には、路銀、お札代などを、首にかけて持たせました。
伊勢神宮に着いたら、その人と一緒におまいりし、お札を買ってもらって、首にぶら下げ、家に帰って主人にお札を渡す、とのことです。
あるいは、伊勢でなくて、まるでヒッチハイクのように、伊勢方面に行く人に、次から次へ犬を託して、伊勢参りをさせる。
帰りも、同様に、人から人へ託して、主人の待つ家に送り届けてもらっ他とのことです。

これは、実は、大変なことではないかと思います。
まず、相当賢い犬でないと、伊勢参りには、行かせられないでしょう。
犬の伊勢参りが実現するには、そういうことが、広く世の中に認知されていなくては、出来ません。
また、犬の路銀が盗まれたり、その犬が誰かに捕まって食べられたりしないことが必須となります。
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余談ですが、江戸時代には、犬が食べらることもあったようです。
江戸時代には、食品であって薬効のあるものを、和歌形式にしたものを集めた「食物和歌本草」というのがあります。
それには、食品でもある犬についても、和歌形式で薬効を教えています。
犬は温(うん) 五臓安んじ 気力まし 血筋補い 腸胃厚くす ・・・ 食物和歌本草
犬はよく 下焦温め 精を増し 膝腰冷ゆる 人に良き也  ・・・ 食物和歌本草

犬の伊勢参りというのは、一見面白いことですが、
江戸時代の庶民の、道徳性が高いことが、はっきりと判ります。

我が家の、ヒナちゃんも、一人でどこかにお参りにでも行ってくれるとよいのですが。
さいたま朝霞の漢方 昭和薬局
埼玉県朝霞市朝志ヶ丘1-2-6-106TEL 
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